「医療詐欺」上昌広著
今の日本の医療は決して「平等」とは言い難く、今のままの医療行政が進めば、30年後には医療崩壊する――。そう予言する著者は医師にして東大医科学研究所の特任教授。一般医師が言いにくい医療の「不都合な真実」を数字を挙げつつ語っているのが興味深い。
例えば、製薬会社とズブズブの御用医師、御用マスコミの存在を指摘し、新薬利権の構造を暴露。著者が勤務していた東大病院や国立がんセンター中央病院では重症者ということで門前払いされ、近隣の病院に回されていたことなどを例に、有名国立病院が軽症者ばかりを集めたがる傾向にあることを明らかにしている。
また、人口1000人当たりの医師数は茨城はブラジル以下、埼玉は中国と同じレベルなのだそうだ。医療の現状を知り、医療サービスを賢く受けたいという人は読むべし。(講談社 840円)