「特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録」特掃隊長著
特殊清掃とは、人間の遺体をはじめ、動物の死骸や糞尿、山積ゴミなどによる特殊な汚染破損の処理。この仕事に携わって20年という著者が、凄惨な現場で出合ったさまざまなエピソードを紹介しながら、生と死について考える仕事エッセー。
薬の飲み過ぎで死んだ男性の父親は、部屋の床の腐敗液が、息子の跡だと教えられ、それまでの冷静さを失い、急に泣き出したという。その他、車上暮らしの末に死んだ父親の愛車の処理を依頼してきた女性、恩人が孤独死した現場を自ら掃除する男性など。淡々とした筆致で死の後始末の現場を描きながら、「いまを大切に生きる」とはどういうことかを考える。
(ディスカヴァー・トゥエンティワン 1000円)