「税金を払わない巨大企業」富岡幸雄著
安倍政権が今年4月に実行した消費税増税。来年10月には10%への再引き上げが既定路線となっている。国民に重くのしかかる増税だが、日本の巨額な財政赤字は大企業が税金を払っていないことが原因だとしたら…。
富岡幸雄著「税金を払わない巨大企業」では、日本の法人税の驚くべき実態を暴露。元国税庁大蔵事務官の著者が、日本の税制の不公平さを指摘している。
法人税と法人住民税、法人事業税の3つを合計した、企業の所得に対してかかる法定正味税率は決まっており、2008年3月期から2012年3月期までは東京都の場合40.69%(資本金1億円超の場合)。これが大企業の経営者などからの引き下げ要求によって、2013年度は38.01%に、2014年度からは35.64%に下がっている。“経済と企業の活性化”を旗印に、法人税は年々優遇が厚くなっているにもかかわらず、大企業ほど払うべき税金を払っていないと著者は指摘する。
もちろん、違法な脱税を行っているわけではない。しかし、研究開発の推進などで法人税が優遇される租税特別措置や、多国籍企業が国際的な節税スキームを駆使すれば、大企業ほど課税所得の軽減はたやすいという。