「ふたつの星とタイムマシン」畑野智美著

公開日: 更新日:

「国道沿いのファミレス」で第23回小説すばる新人賞を受賞し、その後吉川英治文学新人賞候補にもノミネートされた著者による、ちょっと不思議な近未来を描いたSF短編集。大学の教授室で見つけたタイムマシンに乗って中学生の自分に会いに行く女子学生の物語「過去ミライ」、必要に応じて時間を自由に操る能力を持つ中学生が主人公の「自由ジカン」、会社の給湯室から突然別の場所に移動してしまうOLの物語「瞬間イドウ」、家庭用ロボットに家事と学校のスケジュール管理を任せるようになった男子学生の心模様を描いた「恋人ロボット」など計7編が収録されている。

 どの短編でも、何げない青春物語の中に忍ばせたSF的要素が違和感なく日常に溶け込んでおり、私たちの知る世界とは違うもうひとつの世界での普通の生活を描いたかのように感じさせる描写が興味深い。お笑いコンビ、キングコングの西野亮廣が描いたカバーイラストも話題を呼んでいる。

(集英社 本体1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動