「近くて遠いこの身体」平尾剛著
ラグビー元日本代表で、現在は大学で「言葉と感覚」について研究する著者による身体論。現役時代、氏は最新のスポーツ科学に基づいて身体をマネジメントしてきたが、度重なるケガや「脳震盪の後遺症」に悩まされる。スポーツ科学は、適切なトレーニング法や、栄養や休養の取り方などを数値やデータに基づき、説明してくれる。ゆえに我々は身体についてよくわかったと錯覚してしまう。しかし、氏は古武術などと出合い、身体とは「内側から生まれるさまざまな感覚が複雑に絡み合いながら形成されるひとつの現象」だと思い至ったという。自らの体験を通じて、身体の内側から生まれる感覚に耳を傾ける大切さを説く。
(ミシマ社 1700円)