「イスラムの読み方」山本七平、加瀬英明著
世界を揺り動かすイスラム世界を理解するための名著の復刻版。
イスラム世界は「体制としてのイスラム」であるアラブ人と、伝道によってイスラム教化された「信仰としてのイスラム」、そして中間形態の3段階に分かれる。同時にイスラムとは「宗教・文化・政治の3つの面を持つ生活様式」であり、重複して相互に作用しあう存在である。一方、新約聖書には、違った意見や相矛盾する意見の記述が頻繁にあり、さまざまな発想が出てくる基本になるのだが、コーランにはそれがなく、これを絶対とするしかない二者択一になってしまうのだという。その成り立ちから行動原理にいたるまで解説した格好の時事読本。
(祥伝社 820円+税)