「時代劇は死なず!」春日太一著
東映京都撮影所がある太秦には、他にも松竹、二十数年前までは大映の撮影所もあった。この3撮影所で撮影された時代劇映画は1950年代に黄金期を迎えるが、60年代に入ると急速に不振に陥った。本書は、危機的状況を乗り越え、時代劇を作り続けた各撮影所のスタッフたちの奮闘を追ったドキュメンタリー。
かつて全邦画興行収入の3割以上を稼ぎ出していた東映時代劇だが、黒沢明監督「用心棒」などの登場で色あせ、東映は任侠映画へと路線を変更。時代劇を支えたスタッフは、テレビの時代劇ドラマの制作へとシフトしていく。「新選組血風録」など往年の傑作時代劇ドラマの誕生の舞台裏も描いたファン必読の書。(河出書房新社 740円+税)