「家族という病」下重暁子氏
「家族は多様であっていいのに、“あるべき”病にかかると、自分たちさえよければという行動を取るようになります。家族は社会の縮図といわれますが、他人への無関心さは世間の目を気にする暮らし方が生み出した負の側面なのでしょうね」
本書では著者が母の過大な愛情を重荷に感じていたこと、父との確執など、これまで語ることのなかった親子関係も明かしている。特に、さまざまな能力のあった母には自分らしく生きて欲しかった、と振り返る。
「家族って愛しくも愛しい関係だと思います。死に別れてから知っておきたかったと思っても遅いんです。家族のことを知りたいなら、まず一人一人が個性を取り戻さなきゃ。それは家族の各人が、かけがえのない人生を送るためにも必要不可欠です。世間の幸福像に惑わされず、また過度な期待や犠牲を持たず、それぞれの家族をやっていきたいですね。大体、家族に埋没した男なんて魅力ないですよ(笑い)」
発売わずか3カ月で43万部の大ヒット。多くの人が家族に息苦しさを感じていたことの表れだろう。家族をテーマにした新社会論だ。