名著から“男の飲み方”を学ぶ 文人がつづった「大人の酒場学」
■「独り酒、振舞酒」池部良著
石坂洋次郎のアドバイスに従い、酒を飲んで理性も知性も忘れて世間に入りこむ努力をした著者が、旅先などで学んだ酒の頼み方を披露する。
ドイツでの話だ。由緒正しいバーで水割りを頼もうとしたら、一緒にいたデンマーク人女優に「バーで水割りを飲むなんて恥ずかしい。カクテルを飲んで。それが正しいこと」とたしなめられたという。イタリアでは、知り合ったイタリア人男性と昼間にバーでシェリー酒を飲んだ。男が帰った後、バーテンに「昼間、シェリー酒を飲む男同士はホモセクシュアルである」と言われ、「二度と飲むまいと決心」した。酒なら何でもガブガブ飲むのはみっともないと思うに至った、数々の失敗談は興味深い。(TAC出版 1600円+税)