名著から“男の飲み方”を学ぶ 文人がつづった「大人の酒場学」
仕事帰りに、一杯――。仲間とワイワイ飲むのも悪くないが、たまには一人、ダンディーに飲みたいものだ。その教科書ともいうべき名著がある。今回は有名人たちのカッコイイ飲み方の一端を知ることのできる5冊を紹介しよう。
■「男の作法」池波正太郎著
かつて本紙の取材で作家・山本一力が「若い頃に読み、カッコイイ男のあり方を学んだ」と絶賛した一冊。
池波氏いわく、「食事の前に一杯飲みたいときは、ホテルのバーなり、バーテンの前で飲め」と。飲むのは水割りではなくマティーニやマンハッタンなどのカクテル。スーッと飲んで、バーテンと話をして、サッと帰るのが「男らしくて一番いい」。混んできているのに長居したり、寿司屋で寿司を前に置いたまま、長々と飲みながらしゃべっているのは「無粋な行為」と、たしなめる。
ビールについては、「注ぎ足すのは愚の骨頂」とキッパリ。ビールは時間が経つと成分が飛んでしまうため、「コップに3分の1くらい注いで、飲み干してから入れる。だからビールを手酌でやる」のが池波流だ。(新潮文庫 490円+税)