「あの家に暮らす四人の女」三浦しをん著
刺繍作家の佐知の家で雪乃と多恵美が暮らすようになって1年が過ぎた。善福寺川の近く、150坪の敷地に立つその家は、佐知の母親・鶴代の祖父が戦後に建てたものだった。父親の顔を知らずに育った佐知は、長年、鶴代と2人暮らしをしてきた。1年前、保険会社に勤務する雪乃が住んでいたアパートの上階の住人が入浴中に孤独死。部屋が水浸しになり住めなくなった雪乃は、友人の佐知に誘われ、安い家賃で間借りすることになったのだ。その後、雪乃がストーカーに悩む10歳年下の会社の後輩・多恵美を連れてきて奇妙な4人暮らしが始まった。
谷崎潤一郎の「細雪」をベースに、その現代版として書かれた長編小説。(中央公論新社 1500円+税)