「暗転」堂場瞬一著
週刊誌の記者・辰巳が乗っていた満員電車が脱線事故を起こす。気が付くと辰巳は折り重なった乗客の上にいた。左足が動かず、割れた窓から救出されたとき、自分の下にいた女性の安否が気になったが、そのまま気を失ってしまう。搬送された病院で事故の犠牲者の数が続々と増えていることを知り戦慄する。辰巳の下にいたあの女性も同じ病院に搬送されたが、容体が急変し死んでしまう。
女性の婚約者・滝本は、医師から彼女が妊娠していたことを教えられ、やり場のない怒りに駆られる。やがて辰巳や現場に駆り出された警官の高石は、鉄道会社が何かを隠しているのではないかと疑い始める。人気作家がつづる長編社会派ミステリー。(朝日新聞出版 680円+税)