「夏雷」大倉崇裕著
月島で便利屋を営む元探偵の倉持は、山田という男から北アルプスの槍ケ岳に登るためのノウハウを教えて欲しいと頼まれる。20年前のある出来事以来、登山を封印してきた倉持だが、報酬として寝たきりの父親の施設への入居の費用と手続きを肩代わりすると言われ、引き受ける。トレーニングを積み重ね、丹沢、奥多摩へと山行を続けるうち、倉持は山田に興味を抱き始める。しかし、山田は槍ケ岳登山の目的も自分のことも何も語ろうとしない。そんな中、倉持は商店街で自分の情報を聞きまわっている女がいることを知る。さらに鳳凰三山への最後のトレーニングを終えた直後、当の山田が消えてしまう。
読み始めたら止まらない長編山岳サスペンス。(祥伝社 790円+税)