「こんなに脆い中国共産党」日暮高則著
3年前に中国共産党の総書記に就任した習近平の好きな言葉が「中国の夢」。時事通信社の元香港・中国特派員だった著者の取材によれば、その意味はアメリカンドリームのような個人的な豊かさの夢ではなく、元(モンゴル帝国)時代の壮大な世界支配の夢の復活なのだという。しかし、この夢の実現はいかに巨大中国でも明らかに過重負担。それゆえ無理と強気を重ねた結果が現在の東アジアの不安定化だ。
著者は共産党内部の人脈をくわしく検証し、江沢民の引きで出世した習の足場のもろさを指摘する。保守派ジャーナリストならではの視点が多数。(PHP研究所 800円+税)