「三河の風」外山滋比古著

公開日: 更新日:

 徳川発祥の地である三河は、明治維新以来、賊軍となって厳しい風にさらされたが、三河の人間はじっと耐えた。寒風に吹かれていると体が意識しなくなる。被害を受けても感じないのは、〈慈悲の無知〉である。だが、維新によって敗者となり苦しんだ人間や地方があることは知ってほしい。三河の人間は意気地なしだからそういうことから目をそらして生きてきたが、力で押しつぶすことができない根性がいつか必ず頭を持ち上げることを、三河の人間は黙って示している。(「吹きざらし」)

 三河出身の著者が、年を取ってふるさとへの鎮魂の思いをつづった一冊。

(展望社 1500円+税)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭