「世渡り万の智慧袋 江戸のビジネス書が教える仕事の基本」田中優子著
江戸時代のベストセラー作家・井原西鶴の著作に学ぶ「仕事の流儀」。
例えば「日本永代蔵」第1巻「浪風静に神通丸」の章では、大名は世襲で極楽にいるようなものだが、商人は努力でそこにいたるとある男の人生を紹介。彼の母親は23歳で後家になり、米市場でこぼれ落ちた米を掃き集めて、ひと財産を作り出す。息子にも捨てられた藁を集めて銭刺し(銭を束ねるヒモ)を作らせ両替商などに売らせた。そうやって人が思いつかない金儲けで稼ぐことを知った男は、大名に金を貸すまでになったと教える。その他「世間胸算用」などから選んだ16編の現代語訳を通し、商売の神髄や人として生きる道を伝える。(集英社 540円+税)