「退職歓奨」江上剛著
海外でプラント工事を請け負う本条工業の常務・島田は、社長の諌山から、水面下で日本最大の重工業企業・五菱重工業との合併話を進めていると打ち明けられる。グローバル化を生き残るためには合併しかないという諌山は、島田にも相応のポストを用意してくれているらしい。数日後、会長の猪川に呼び出された島田は、猪川と彼の取り巻きから、合併を阻止するために取締役会で諌山の解任動議に賛成するよう迫られる。
猪川らが言うように諌山が社長職延命のために合併を利用しようとしているとも考えられる。諌山に従うか、猪川につくべきか、島田は決断を迫られる。(「耳したがう」)
組織に生きる50代半ばの男たちを描いたビジネス小説集。(実業之日本社 630円+税)