「ドリームホーム 99%を操る男たち」住宅バブル崩壊を描くハリウッド映画
社会派の映画というと辛気くさくて押し付けがましい話かと思ったら大間違い。来週公開の「ドリームホーム 99%を操る男たち」を見て、なるほど現代アメリカの社会派はこんな具合かと改めて納得した。
持ち家はアメリカンドリームの象徴だが、この庶民のささやかな夢を狂わせたのがリーマン・ショック。住宅バブル崩壊で自宅を差し押さえられ、「99%の貧困層」に転落した米庶民の実態を描く本作は、もしこれがドキュメンタリーだったら普通にストレートな告発話になったかもしれない。
だが、そこは純然たるハリウッド製劇映画。だからこそ、計算されたカメラと演技が過酷な現実を肌身に突きつける。
実際、冒頭の差し押さえ場面から不動産屋の悪辣な仕打ちの裏面まで見ているだけで胸苦しくなるのだ。主演のアンドリュー・ガーフィールドも「スパイダーマン」のときよりずっと達者に本領発揮し、母親役のローラ・ダーンがしっかり支える。監督はラミン・バーラニというイラン系アメリカ人。共同脚本には西島秀俊主演「CUT」の監督だったイランのアミール・ナデリが入って、ハリウッドでも巧みに生きる国際派映画職人の気合を見せている。