「死ぬまでに行きたい世界の図書館」 伊勢出版(世界の図書館再発見委員会)編
読書好きにとって図書館や書店は、時間を忘れて本と過ごすことができる至福の場所。しかし、動物園や博物館と異なり、国内はともかく海外旅行中に旅先で現地の図書館を訪ねるのは、なかなかハードルが高い。ガイドブックに現地の図書館情報が載っていることもまれだ。
本書は、そんな情報のニッチを埋めてくれる世界の図書館ガイドブック。
たとえ言葉の問題を抱えていようとも、その建物としての美しさ、館内を満たす空気、歴史、そして何よりもあふれんばかりの蔵書の数々と、一歩足を踏み入れただけでワクワクしてくるに違いない、世界各地のお薦め図書館を紹介してくれる。
まずは「一生に一度は見ておきたい話題の図書館ベスト3」。その中のひとつ、マンハッタンのど真ん中に位置する「ニューヨーク公共図書館」のボザール様式の重厚な建物は、ニューヨークにおいても一目を置かれる存在。
「Public」を公立ではなく公共と訳すのは、設置主体が市ではなく独立法人で、財政基盤も寄付やイベントの収益で成り立っているからだとか。1911年完成の外観もさることながら館内も格式高く、映画の世界に迷い込んでしまったかのような錯覚さえ覚えるが、実際は誰でも無料で利用できる、庶民のための図書館なのだ。収蔵数も分館と合わせ5300万点と群を抜いている。