「大きくなる日」佐川光晴氏

公開日: 更新日:

■行動しながら悩むことが大事

「いつの頃からか小説には、いじめで死ぬとか、取り返しのつかないことになって後悔しながら生きていくという話が増えましたよね。でも、子育てをしている僕としては、その前にもう少しやることがあるだろう、と。人生にはいろんな起伏があり、危機も目の前にあるけれど、何とかしてしのぐことの大切さも、書きたかったことのひとつです」

 著者の言葉通り、登場人物たちは大人も子供もさまざまなトラブルに見舞われる。しかし、一人で膝を抱えて悩む人はいない。

「人はつらいことがあると『いいもの見つけた』と動かない口実にしてしまいがちです。しかし、一人閉じこもってしまうと、次の扉は開きません。大事なのは悩みの内容ではなく、何をしながら悩んでいるか。人間関係を感じる中にいれば助けが入ることもあるし、他人の苦しみも分かり、結果、悩みに足をすくわれずに済むんだと思います」

 中学生になった太二が主人公の「四本のラケット」では、テニス部の人間関係で、仲間外れの加担を強いられる“危機”が描かれる。そのとき太二が思い出したのは……。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に