「難民調査官」下村敦史氏

公開日: 更新日:

 難民調査官とは、難民申請者が本当に母国で迫害される恐れがあるのかを調査するのが仕事で、経験ある入国審査官の中から法務大臣が任命する。

「先輩作家の方々がすでに取り上げている題材で書いても“劣化版”にしかなりません。難民調査官は僕が知るかぎり、こういう形で本になるのは初めてのはずです。今回あえて難民調査官に直接取材はせず参考文献や弁護士、支援団体への取材を基に創作したのも、資料が乏しい分、自分のオリジナリティーを前面に出せると思ったからです」

 今でこそテレビなどでシリア難民らの映像を目にする機会が増えたとはいえ、まだまだ日本では現実味に欠ける難民問題。その難しさを著者は本作にどう反映させたのか。

「難民問題というのは本来、人道的な問題だと思うのですが、どうしても政治が絡んでしまうし、法律面、外国との関係など、取っ付きにくい部分があります。この作品でもその辺を乗り越えるために、まず自分が難民問題を知ろうというスタンスから、難民問題に関する賛否両論も広範に盛り込みつつ、サスペンスに仕上げました」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動