「長引く腰痛は“脳の錯覚”だった」丹羽真一他著、菊地臣一監修
脳科学を取り入れた腰痛治療として注目されている福島県立医科大学病院の「認知行動療法」について解説する。
慢性的に痛みを抱える患者は脳の灰白質という部位の血流が滞り、背外前頭前野や側頭葉、海馬といった脳の各所に萎縮が見られることが分かってきた。これにより脳が痛みを錯覚しやすくなり、痛みへの恐怖にもとらわれやすくなる。腰痛患者の場合も、「痛みが強くなりそう」「痛みがずっと続きそう」といった思い込みから、体の動きを制限して余計に腰への負担を大きくする傾向があるそうだ。
そこで認知行動療法では、ネガティブな気持ちを記録する「ストレス日記」などにより自身を分析し、行動を改善して痛みの悪循環を断っていく。長引く腰痛に悩まされている人は必読だ。(朝日新聞出版 1200円+税)