トランプの「暴言術」は周到に計算された品の悪さ
「トランプがローリングストーンズでやってきた」町山智浩著
「週刊文春」で著者が連載するエッセー「言霊USA」は絶好調。本書はその最新刊だが、実はトランプネタはひとつだけ。それでもちゃっかり書名と表紙イラストはトランプがらみだ。ローリングストーンズはトランプが自分の集会で「スタート・ミー・アップ」を使ったことに抗議したが、実はストーンズも相当な守銭奴。
本書では大統領候補たちの選曲についての章が面白い。トランプが使ったニール・ヤングの曲はもともと共和党の大統領を皮肉った歌だし、レーガンが使った「ボーン・イン・ザ・USA」は祖国に裏切られた庶民の怒りの叫び。一冊読むと米芸能界通になれる。(文藝春秋 1000円+税)