トランプの「暴言術」は周到に計算された品の悪さ

公開日: 更新日:

「THE TRUMP傷ついたアメリカ、最強の切り札」ドナルド・J・トランプ著、岩下慶一訳

 暴言放言、言いたい放題のトランプ。その背景にはしたたかな計算が――?暴言しても支持率が下がらないどころか、かえってアップする化け物のようなトランプ。本書はその選挙キャンペーン本。それだけに“暴言術”の秘訣がわかる。

 たとえば――「米国の外交問題を泥沼に引き込んだ外交官たちは、私に外交の経験がないことを批判する」「だが世界の状況を見てみるがいい。控えめに言っても目も当てられない状態としか言いようがない」「まず他を圧倒する強力な軍隊を持つことだ。強い経済を利用して、友好的な国には見返りを、そうでない国には罰を与える」「サウジアラビアは毎日5億から10億ドルを稼ぎ出している。だが我々が守ってやらなければサウジもその富も存在できない。そして我々は彼らから何一つ受け取ってない」「我々はドイツも日本も韓国も守っている。どれも強く富裕な国々だ。ここでも我々はタダ働きだ」

 要は地上げ屋じみた理屈で国家外交をやるというわけだが、この周到に計算された品の悪さこそがアメリカ版マイルド・ヤンキー層に受ける秘訣に違いない。(ワニブックス 1600円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    小室佳代さんは眞子さんを「配偶者」と呼び、秋篠宮さまは圭さんを「夫の方」と呼ばれ…自伝本が深めたミゾ

  2. 2

    松坂桃李「御上先生」は連ドラの“勝ちパターン”を外してしまった? 1ケタ陥落で疑われる《失速と中だるみ》

  3. 3

    開成合格でも渋幕に入学する学生が…強力なライバル校出現で揺らぐ唯一無二の存在

  4. 4

    “選挙のプロ”立花孝志まさかの凡ミス赤っ恥…第一声「神戸→船橋」急きょ変更のお粗末

  5. 5

    中村芝翫「同棲愛人と破局宣言」で三田寛子の夫婦関係はどうなる? “梨園の妻”の揺れる心中

  1. 6

    小室圭さん母・佳代さん まさかの「自伝本」出版に宮内庁が困惑…“魂の訴え”で秋篠宮家にまた逆風か

  2. 7

    三田寛子はアイドルから“梨園の妻の鑑”に華麗なる転身も…夫の不倫癖で扇千景さんの境地になれない

  3. 8

    大阪万博の目玉 344億円の巨大木造リングはほぼフィンランド産…「日本の森林再生のため」の嘘っぱち

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希 異例の「マイナー相手に実戦登板」で見えた首脳陣の痛恨トラウマ

  5. 10

    なぜオリ山岡泰輔だけが名前を晒されたのか…SNSでは「不公平」「一律公表すべき」の声