「聖なる怠け者の冒険」森見登美彦著
土曜の朝、企業の研究員・小和田君が目覚めると、小学校の校庭で椅子に縛られ、目の前にはタヌキのお面をつけた怪人「ぽんぽこ仮面」がいた。1年前、京都の町に現れた怪人は、神出鬼没で、困った人に手を差し伸べる親切な正義の味方だった。ひょんなことから怪人と知り合った小和田君は、怪人から後継者になるよう要請されたが、元来の怠け者ゆえ、かたくなに拒み続けていたのだ。それでもあきらめない怪人が強硬手段に出たようだ。2人が押し問答していると、若い女性が突然、怪人に抱きついてきた。彼女はある人物から怪人の正体を探るよう依頼された探偵事務所の助手・玉川さんだった。
祇園祭の宵山で賑わう京都を舞台に小和田の長い一日を描いた長編小説。(朝日新聞出版 640円+税)