「睡眠の教科書」ロバート・ローゼンバーグ著 上野元美訳

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 近年では睡眠の効果が詳細に研究され、睡眠の質を高めると心臓血管疾患のリスクが減ることや、睡眠不足が続くとアルツハイマー病に関わるアミロイドβタンパク質が浄化されにくくなることなどが明らかになっているという。本書では、30年以上のキャリアを持つ睡眠専門医が、睡眠の効能やさまざまな睡眠障害の治療法、そして、良質な睡眠をとるためのヒントを伝授している。

 日本人は5人に1人が何らかの睡眠障害を抱えているといわれるが、眠れない理由を明らかにすれば治療の道も開ける。例えば、ドーパミンの低下が引き金となる「むずむず脚症候群」では、夜になると脚にしびれるような不快な症状が起こって睡眠が妨げられる。この場合は、ドーパミンの産生に関わる鉄分補充治療や、リンパ液と血液の循環を助ける圧迫療法などで改善が期待できるという。

 パソコンやスマホのブルーライトの影響で睡眠サイクルに異常を来す、「概日リズム睡眠障害」も増加傾向にある。この場合は、就寝2時間前には通信機器の電源を切り、睡眠を促すメラトニンの分泌を促すため、寝室に赤色の終夜灯を使うことなどが有効な対策だという。

 良質の睡眠こそが健康長寿の基本だ。(シャスタインターナショナル 1500円+税)

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