「やってはいけない高血圧治療」松本光正著
「高血圧は危険だ」。あなたがそう思っている理由は、「脳卒中を引き起こすから」だろう。しかしこれは、戦後までに根付いた時代遅れの常識。近年では、血圧を下げるために薬を服用する方が健康リスクを高めることが分かってきたと、本書は警告している。
脳卒中は大きく、脳梗塞と脳出血とくも膜下出血に分けられる。戦後の日本人の死因第1位は脳卒中であり、およそ60%を占めていたのが脳出血だった。栄養状態が悪く、血管がもろかったため高い血圧に耐えられず出血を起こしやすかったことが、原因のひとつとして考えられるという。
ところが90年代以降、日本人のコレステロール値が上がって細胞膜が強化され、血管も強くなった。同時に、脳出血の患者は激減し、代わって60%を占めるようになったのは脳梗塞だ。実は、血圧を下げた方が脳梗塞のリスクは高まる。血流が弱まり、血栓を取り除きにくくなるためだ。医師から「脳梗塞予防のために降圧剤を始めましょう」と言われた経験を持つ人もいるだろうが、これはとんでもない間違いなのだという。
他にも、塩分やドロドロ血など高血圧にまつわるウソを暴く本書。古い常識を信じ込んでいると、命が危ない。
(KADOKAWA 1200円+税)