「かがみの孤城」辻村深月著

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 安西こころは公立中学へ進学してすぐにクラスの女子からひどい仕打ちを受け、5月から学校へ行けなくなる。

 悶々としていたある日、部屋の鏡が突然光り始めた。鏡は童話に出てくるような豪壮な城への入り口で、城には、狼の面を着けた少女「オオカミさま」の監視の下、こころを含め7人の男女が集められていた。来年の3月30日までに「願いの部屋」の鍵を見つけた者は、どんな願いもかなう。ただし、この城に居られるのは9時から17時までで、それを守らない場合は狼に食われるというのだ。

 全員学校に行っていない中学生で、この城以外に居場所のない7人は、徐々に互いの存在を大切に思うようになる。だが、期日が来ればここでの記憶はなくなり、別れなくてはならない。それだけはイヤだ。では、どうすればいいのか?

 彼ら7人が選ばれたのはなぜかという謎を軸に、おのおのが抱える闇が明かされていくのだが、物語が進むにつれ、それらが一つに結び合わされていく。謎を収斂させていく手際は見事というほかなく、日本オリジナルのファンタジーとしても秀逸。(ポプラ社 1800円+税)

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