「心を操る寄生生物」キャスリン・マコーリフ著
ここ数年注目されている「腸脳相関」で明らかになったように、人間に寄生する生物が、その心までも操っているのではないか、という新しい考え方・研究を紹介した一冊。著者は世界的な科学雑誌「ディスカバー」誌の寄稿編集者でサイエンスライター。
その内容は刺激的だ。本の中でインフルエンザウイルスは、新たな感染先と出合うため、ウイルスが最もうつりやすい時期にいつもより多くの人と出合うよう心を操っているのではないかとの仮説を立てた研究者の話を紹介している。
また、性感染症を引き起こす病原体が性欲を後押しするという考えもあるそうで、その例として、単純ヘルペスウイルスが骨盤領域の神経末端を刺激して性的活動を促進して、別の宿主にうつる確率を高めている可能性があるとの学者の推測も書かれている。
寄生生物がその存在を守るために、宿主を支配しようとしているさまが具体的に書かれていて面白い。(インターシフト 2300円+税)