夏休みに読みたい「三国志」特集
「三国志読本」宮城谷昌光著
宮城谷版「三国志」をはじめ、多くの中国歴史小説を執筆してきた著者が自作を語ったエッセー集。
なぜ他の作家のように「演義」ではなく、正史を下敷きにして歴史小説「三国志」を書こうと思ったのか、なぜ後漢王朝に現れた名臣・楊震の「四知」(天知る。地知る。我知る。子知る。だれも知らないとどうしていえるのか)の言葉から物語を始めたのか、など創作の裏話を披露。
神のごとき知謀をうたわれる諸葛亮の本質は、現実的な内政家だった、さしたる名声もなかった曹操が人望を集め、兵法に長じた秘密などの三国志に学ぶ人物論や組織論まで。
宮城谷三国志の世界に読者を誘う。(文藝春秋 710円+税)