高金利で貸しまくる銀行カードローン
近頃のテレビCMで、俳優の阿部寛や女優の吉高由里子が明るく爽やかに利便性をうたう銀行カードローン。堅実なイメージの銀行からの借り入れは、何となく“大丈夫”と思ってしまう。ところが2016年、自己破産した人の数が13年ぶりに増加。その原因のひとつが、この銀行カードローンによる過剰な貸し付けといわれているのだ。
藤田知也著「強欲の銀行カードローン」(KADOKAWA 800円+税)では、なりふり構わず拡大する銀行カードローンの実態を解説。その危険性に警鐘を鳴らしている。
消費者金融は00年代前半まで、グレーゾーン金利いっぱいの年29・2%で金を貸していた。これは法制度の隙を突いた形で、重い利息負担に追い詰められる多重債務者も後を絶たなかった。そこで「貸金業法」が改正され、貸金額は他の業者もあわせて年収の3分の1を超えてはいけないとする「総量規制」も定められた。
ところが、銀行は貸金業者ではないため、貸金業法の規制を受けない。消費者金融と同じように金を貸しても、3分の1の上限を超えても、である。それでも以前は、銀行がカードローンを積極的に売り込む動きはなかったため問題はなかった。しかし、住宅ローンの金利は1%を割るのが当たり前となり、企業向け融資の金利も過去最低水準で、銀行は苦境に陥った。そこで活路を見いだしたのが、一般消費者をターゲットとした高収益のカードローンとなったわけだ。
“銀行ならば安全”と考えるのは大間違いだ。多くの銀行カードローンには、黒子となる保証会社の存在がある。利用者が金を返せなくなったとき、保証会社はその個人に代わって銀行に金を返し、代わりに個人に対する“回収”を行う。その保証会社となっているのが、なんと貸金業者である。早い話が、規制強化を受けた消費者金融が保証料を稼ぐビジネスにシフトし、銀行と二人三脚でカードローンの貸出額を伸ばしているのだ。
本書では、銀行カードローンに苦しめられる人々のルポも掲載。野放しにされている銀行カードローンの実態には、到底納得ができない。