「巨大倒産」有森隆著
うちの会社は大丈夫か――。サラリーマンに話題の一冊がある。有森隆著の「巨大倒産――『絶対潰れない会社』を潰した社長たち」(さくら舎)だ。
上場廃止の危機に直面している東芝にしても、多くの社員は「まさか倒産することはないだろう」とタカをくくっているに違いない。
だが、過去に巨大企業の倒産はいくつも起きている。今年6月にはタカタ(東証1部)が経営破綻。負債総額1兆7000億円で、製造業としては戦後最悪だった。本書は、「三代目が世界シェア2位企業を潰した」とし、タカタの高田重久会長兼社長はリーダーの器ではなかったと指摘した。
そのほか、世界の名画を買い漁った大昭和製紙の斉藤了英氏や、造船業界の救世主といわれた佐世保重工の坪内寿夫氏、ミサワホームの三沢千代治氏、安宅産業の安宅英一氏、三光汽船の河本敏夫氏と岡庭博氏ら、一時代を築いた経営者にスポットを当て、彼らはなぜ会社を潰したのか――に迫った。
さらに流通業界の2大巨頭、セゾングループの堤清二氏と、そごうの水島広雄氏の「絶頂と転落」も丁寧に描いている。台湾・鴻海の傘下に入ったシャープは、町田勝彦氏ら経営陣の内紛が崩壊の一因と分析している。
全9ケースの巨大倒産・解体から見えてくる“失敗する社長の本質”とは……。わが社のトップは? サラリーマン必読の書だ。