「戌亥の追風」山本一力著
嘉永6(1853)年、江戸が黒船来航に揺れる中、木更津の薪炭問屋「波切屋」は、仕入れた流木の丸太を材木問屋の吉野屋に転売。流木は「拾った者勝ち」が習わしだが、丸太に「御公儀御用」と材木問屋「深川木柾」の焼き印を見つけた吉野屋は、木柾と掛け合って、丸太を譲るとの一判を得るよう言い出す。木柾の娘と顔なじみの波切屋の次女・おきょうがその役を買って出て、五大力船で江戸に向かう。しかし、おきょうは理由も告げられぬまま、中川の船番所に留め置かれ、吟味を受けることに。江戸の薪炭問屋「上総屋」の手代、仙之助はおきょうを助け出すために、佃島の肝煎、五兵衛に協力を求める。
女のために悪と戦う男たちを描く長編時代小説。
(集英社 740円+税)