「身代わり忠臣蔵」土橋章宏著
時は元禄14年。呉服橋近くにある武家屋敷で吉良上野介は、いらだちを募らせていた。
50歳を過ぎた末弟・孝証がたびたび金の無心をするが、一度も返したことがない。赤穂藩主の浅野内匠頭も指南料をよこさず、そのことも頭にきていた。
そんなさなか、江戸城の松の廊下で吉良上野介は、浅野内匠頭に斬りつけられ、意識不明になってしまう。
そこで白羽の矢が立ったのが、上野介にそっくりな孝証だ。兄の身代わりになり、お上の取り調べをこなし、やれやれと思ったときに兄は死亡。“上野介”として何不自由ない生活を送る孝証だったが、やがて、切腹を命じられた浅野内匠頭を慕う赤穂浪士の敵討ちを耳にし……。
替え玉人生の極楽と地獄を描く新・忠臣蔵物語。
(幻冬舎 1500円+税)