「壺中の回廊」松井今朝子著

公開日: 更新日:

 昭和5年、大学講師の桜木治郎は、歌舞伎を上演する木挽座を経営する興行会社に「掌中の珠を砕く」との脅迫状が届いたと耳にする。治郎の祖父は、江戸歌舞伎の大作者と呼ばれた治助、父は裏方として劇界に君臨したが、治郎は封建的な旧劇の世界を見切って跡を継がなかった。脅迫状が気になり、木挽座の楽屋に「珠」候補となる花形役者たちを訪ねた治郎は、若手の花形・蘭五郎から彼が企画する自主公演への協力を求められる。

 翌月、治郎が木挽座で「仮名手本忠臣蔵」を観劇中、蘭五郎が出番なのに舞台に現れない。異変を察した治郎が楽屋に駆け付けると蘭五郎は毒殺されていた。治郎は築地署の笹岡と真相究明に乗り出す。

 歌舞伎の世界を舞台にした時代ミステリー。(集英社 820円+税)

【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動