「モンテレッジォ小さな村の旅する本屋の物語」内田洋子著
時事報道に携わる著者がベネチアの古書店で、若いのに客の注文した本を必ず見つけてくる店主に感心していると、「代々、本の行商人でしたので」と言う。トスカーナ州のモンテレッジォ村の人々は特に産物もなかったので、本を売り歩くようになったとか。印刷所もない山深い村で……と驚いた著者はモンテレッジォを訪ねることに。
住民は夏の古本市のときに戻ってくるが、普段は山を下りているので村には人がいない。村へ向かう途中にヘミングウェーの写真があった。〈露天商賞〉の第1回受賞作家だからだ。
本の行商人の歴史を訪ねたノンフィクション。(方丈社 1800円+税)