人間の速く走れる限界は100メートル9秒35

公開日: 更新日:

 山﨑昌廣著「人体の限界」(SBクリエイティブ 1000円+税)ではそのタイトル通り、人間の体に関わる各種の限界について65項目にわたり解説している。

 例えば、骨の強さの限界だ。20~30歳代の骨を対象に行われた研究によると、棒を折るような要領での骨折には脛骨(スネ)がもっとも強く、296キログラムの力が必要だという。

 次いで強いのが大腿骨で277キログラム、上腕骨で151キログラムという結果。脊椎骨では脚や腕のような折れ方はせず、潰れるような骨折を起こす。そのために必要な力は、頚椎で400キログラム、腰椎では730キログラム。骨の強さに驚かされる一方、けがなどで骨折する場合には大変な力が加わっていることも分かる。

 人間が耐えられる温度の限界はどうだろう。皮膚が瞬間的にやけどになる温度は70~80度以上。ただし、これ以下の温度であっても長く接触していれば低温やけどを起こす。

 皮膚のタンパク質が変性を始める温度は意外に低く42度。熱めの風呂ぐらいだ。この程度の温度でも6時間つかっていればやけどを起こす。44度であれば3~4時間、46度であれば30分~1時間程度で皮膚の深い組織にまで損傷が広がるそうだ。

 速く走る限界では、スタート合図からの反応速度や加速度、歩幅などの条件を考慮すると、理論上は100メートルを9秒35で走ることが可能であるという。2017年12月時点での100メートルの世界記録保持者はジャマイカのウサイン・ボルトで9秒58。残念ながら引退してしまったが、あと0.23秒は縮められた可能性があるということだ。

 他にも、水に潜る能力や見る力、嗅ぐ力などさまざまな限界を紹介。雑談のネタにも役立ちそうだ。


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…