「ダムの歩き方」萩原雅紀監修、地球の歩き方編集室編
今、ダムが密かなブームとなっているのをご存じだろうか。公共の交通手段がほとんどない不便な場所にあるが、美しい日本の風景に溶け込んだダムは、圧倒的な存在感で訪問者を魅了。一度訪れると病みつきになり、必ず他のダムも訪ねたくなるという。
おまけに現地を訪れた人だけが手にすることができる各ダム共通仕様の「ダムカード」なるものまで発行されており、愛好家の収集欲をかきたてるのだそうだ。
本書は、全国に約2700基もあるといわれる中から厳選した、お薦めのダムを紹介するガイドブック。
まずは、数カ所のダムを効率よく訪れながら、観光も楽しめるお薦め「ダム旅」のルートを地域ごとに提案。
例えば、北海道の札幌駅を起点に、小樽駅まで走行距離約120キロのルート。まずは、札幌圏に電力と水道水を届ける「藻岩発電所取水堰」を訪問。推奨土木遺産にも認定された歴史的価値の高い施設で、正式なダムではないが、ローリングゲートと呼ばれる珍しい型式のゲートが見どころだ。さらに国内に53基しかないアーチダムのひとつ「豊平峡ダム」や、堤高が100メートルを超える巨大な「定山渓ダム」など、5つの施設を巡る。定山渓ダムは特別な申し込みがなくとも堤体内を見学することもできる。
そして、お腹がすけば、ご飯を堰堤に、カレーを貯水池に見立てたご当地グルメの「ダムカレー」が待っている。
さらに「秘境」「秀麗」「歴史」など5つのテーマごとにお薦めのダム100基を18ルート別に個別に紹介。
夏休み旅行の滞在先でのダム巡りも悪くない。運よく、豪快な放流に遭遇できれば、格別の涼感を楽しめることだろう。
(ダイヤモンド社 1556円+税)