在校生の「生の声」で紹介 有名大学のリアルな姿
「大学図鑑!2019」オバタカズユキ監修
この時期、志望の大学に入学したものの、思い描いていたキャンパスライフと現実の間にギャップを感じ、悩んでいる学生も多いのではなかろうか。本書は、そんな先輩たちと同じ轍を踏まないために受験生にお薦めしたい大学ガイドブック。
美辞麗句が並んだ大学のパンフレットやホームページ、そして類書からでは分からない、それぞれのリアルな大学の姿を伝えることに主眼を置く本書。取材スタッフが各大学に赴き、キャンパスを歩き倒して集めた在校生の「生の声」から分かるその大学の特有の「空気」までを紹介する。
例えば早稲田大学や慶応義塾大学とともに「関東私大Aグループ」にランクされる上智大学では、キャンパスの狭さまで指摘。学生は「教室間の移動が楽」などと前向きに受け止めるが、正門のすぐ先が裏門という残念さは否定できず、校舎の設備も新旧の差が大きいと容赦ない。学問面では、「法学部は出席を取らずテストだけの評価だが、文学部や外国語学部は出席重視」など、生の情報を紹介。さらに、いろいろな意味での人間パワーにおいて、完全に女性上位だとその学生気質にも言及する。
この学生気質、何かと話題の日本大学は「学歴コンプレックスに悩んでいる人の割合が多い」などの他にも、「大東大生や国士舘大生よりも覇気がない」(帝京大学)、「全体的には地味でおとなしいキャラクターなのだが、酒をよく飲むのが伝統」(東京経済大学)など、大学側や卒業生からクレームが来そうな直言もズバリ。それだけに他の内容にも信憑性がありそうだ。
主な国公立大学と東西の私大を合わせて81校を網羅。偏差値や知名度だけを基準にしがちな志望校選びの心強い助っ人になってくれるに違いない。
(ダイヤモンド社 1800円+税)