「ミステリー・アリーナ」深水黎一郎著
年末恒例の生放送番組「推理闘技場(ミステリー・アリーナ)」が始まる。ミステリーオタクの解答者は、読み上げられる本格ミステリーの犯人が分かった時点で解答。物語を読み終えた時点で発表される正解者には、賞金20億円が贈呈される。
物語は、悪天候の中、ミステリー研究会のOB年次会に参加するため、三郎が会場の鞠子の別荘に到着した場面から始まる。三郎はこの滞在中に、仲たがい中の沙耶加とよりを戻したいと考えていた。やがて、橋が流され、半島に立つ別荘が孤立したことが分かる。その矢先、三郎は背中にナイフが刺さった鞠子の遺体を見つける。ここまで進んだところで早くも解答者の一ノ瀬がボタンを押した。
技巧を駆使して15通りもの解決案が提示される多重解決ミステリー。
(講談社 800円+税)