「紅のアンデッド」川瀬七緒著
東京・荻窪で奇妙な事件が発生した。古びた平屋の座敷におびただしい血痕が飛び散り、そこに左手の小指が3つ転がっていたのだが、死体が見つからない。
捜査本部が立ち上げられて1カ月。いまだにこれが殺人なのか、傷害なのか、強盗なのか、判断つきかねていたが、その後、DNA鑑定で小指の持ち主は家主の遠山夫妻、それに夫婦宅を訪ねてきていた身元不明の成人男性と判明する。そして、捜査分析支援センターの法医昆虫学者・赤堀涼子とプロファイラーの広澤晴美が登場。赤堀は指に湧いたうじの状態から犯行日を特定。広澤はプロファイリングを使い犯人の実相に迫り、一見平穏な社会に潜む病巣が次第に明らかにされていく。
法医昆虫学の知識が難事件の謎を解く警察ミステリーシリーズ最新刊。(講談社 1500円+税)