話し方の悩み解決本特集
「話し方の『加齢臭』」福田健著
会話とは人間関係におけるエンジンのようなもの。いくら外見ばかりを磨いても、肝心のエンジンがポンコツでは、相手の心を掴むことはできない。今回は、「コミュニケーションがうまくいかない」「しゃべっていて自分の言葉が軽い気がする」など、話し方に悩みを抱える人にお薦めの4冊を紹介しよう。
中高年特有のにおいである“加齢臭”。それは話し方にも漂うものだと警告するのが、福田健著「話し方の『加齢臭』」(プレジデント社 1200円+税)である。もちろんこれは口臭のことではない。その人らしい「ものの言い方」や「表現の仕方」が、年齢を重ねることで“嫌なクセ”になって表れるものだ。
例えば、若い時から世話好きだったAさんは、「俺も手伝うよ」が口癖。しかし「ありがとう。あとで連絡するよ」の返答に対し、以前なら「いつでもどうぞ」と笑顔で待っていたものだったが、年を取ってくると経験値が上がる分、先回りして手伝いを押し付けがちになる。「やるなら早い方がいいよ」「遠慮するな」とグイグイ行く。
そしてコトがうまく運ぶと「な、よかっただろう」「何でも早めにやっとくもんだ」などの言葉が飛び出すようになる。かくして、Aさんの話し方からは加齢臭がムンムン、ということになる。
言い回しがくどくなるのも話し方の加齢臭の特徴だ。年を取れば、過去に「ひと言念を押していれば」「あのとき再確認しておけば」という苦い失敗のひとつやふたつはあるもの。そのため、「念のために言っておくが」としつこく言うようになり、心配性が高じて「ちゃんと聞いているか」「何度も言わせるなよ」などと口にしてしまう。若い相手からすれば、「いい加減にしてくれよ……」と鼻をつまみたくなる。
本書では話し方の加齢臭を12のタイプに分類。“やる気があればできる”が口癖の「根性臭」、相手を喜ばせたい一心が空回りする「もったいぶり臭」など、ドキリとさせられる事例を紹介。あなたの話し方、におっていませんか?
「男の婚活は会話が8割」植草美幸著
女性に「この人、感じがいいな」と思ってもらえる簡単なひと言が、「ありがとう」だ。表情や声のボリュームに細心の注意を払っても、相手へのリスペクトがない話し方をすれば、あっという間に女性に嫌われる。
とくに中高年男性は、年下相手に上から目線で説教したり、偉そうに講釈を垂れる傾向にある。そんな中で、自然に「ありがとう」が出てくる男性は好感度が上がる。
女性との会話が弾まないという人は、オウム返しのテクニックを身に付けるといい。「うちの近所においしいケーキ屋さんができたの」と言われたら、「へー! おいしいケーキ屋さんが!」と返すのだ。女性は“私に興味を持ってくれている”と感じ、会話が弾む。
容姿は悪くないし、経済力だってある。なのに女性にモテず2度目のデートにつながらないという人は、話し方を変えてみよう。
(青春出版社 1360円+税)
「自分の言葉で語る技術」川上徹也著
自分の意見をうまく言語化できない、意見を求められても平凡なコメントしかできない……。そんな悩みの原因は、「自分の言葉」を意識せず、「借り物の言葉」を使っているからだと本書。コピペしたような言葉では、人の気持ちを動かすことは到底できない。
自分の言葉を生み出すには、五感を総動員して語るのがよい。例えば、休日に湖を訪れたとき、五感を意識しなければ「きれいな湖」という無味な感想で終わってしまう。しかし、湖面には何が映っているか、鳥のさえずりは聞こえるか、緑の香りはするかなど五感を意識するとさまざまな情報を得ることができ、その情報を使えば人とは違う言葉、つまり自分の言葉が生まれるわけだ。
他にも、“具体的”を意識する、意見と根拠をセットで話すなど、自分の言葉で話す56のコツを紹介する。
(朝日新聞出版 600円+税)
「なぜ、あなたの話は響かないのか」蔭山洋介著
現代は、コミュニケーション能力が求められる時代。ビジネスの世界でも“コミュ力高め”が成功のカギであり、逆に“コミュ力低め”の人はあらゆる場面で問題に直面してしまうだろう。
コミュニケーションの基本は相手の言っていることを理解することだ。そこで役立つのが、言い換えのテクニック。例えば、地図を指さしながら「ここに行きたいのですが」と道を聞かれたら、「ここですか?」ではなく「このレストランですね」と、自分なりに理解したものに言い換えて返事をする。これだけで、「あなたの言っていることを理解しています。安心してください」というメッセージを伝えることができる。
コミュニケーションとは「不確実なやりとりを成立させる力」として捉えることもできると本書。現代人に求められるコミュ力を解説しながら、そのトレーニング法を伝授していく。
(ディスカヴァー・トゥエンティワン1500円+税)