「医療現場の行動経済学」大竹文雄・平井啓編著

公開日: 更新日:

 医者が患者に情報提供をして、どんな治療をするか意思決定する「インフォームドコンセント」という手法。がんの告知などが多く行われるなか、医療知識のない人が、ある日突然難しい意思決定をしなければならないケースが増えている。本書は、意思決定にどんなバイアスが存在するかを行動経済学の視点から解説し、意思決定の際の問題点について明らかにしている。

 よく見られるのが、「ここまでやってきたのだから続けたい」と今までの治療法に固執するサンクコスト・バイアス、「まだ大丈夫」と病状の変化の認識を拒む現状維持バイアス、「今は決めたくない」と意思決定を引き延ばす現在バイアス、医学的に証明されている治療法よりも「がんが消えた」などの広告の文言を意思決定の参考にしてしまう利用可能性ヒューリスティックの4つ。

 患者だけでなく医師側にもこうしたバイアスが存在することを意識した上で、意思決定することの大切さを説いている。

(東洋経済新報社 2400円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭