「斗南藩」 星亮一著
斗南藩とは、戊辰戦争に敗れ、故郷を追われた会津藩士とその家族が、現在の青森県下北半島を中心とする旧南部藩の地に流罪となり、つくり上げた藩の名前。後に廃藩置県で弘前県に合併されたため、わずか1年半しか存在しなかったその知られざる斗南藩の歴史をひもとく明治維新史。
明治新政府は、明治2年、会津藩士の謹慎を解き、南部藩から没収した北郡・二戸郡・三戸郡を会津藩領とする。そこは、実収わずか7000石の不毛の地だった。そんな土地に藩士とその家族、約1万7000人が移住したため、たちまち人々は飢餓に陥り、疫病も流行。日々の暮らしは監獄と同じだったという。移住した会津人家族のさまざまな記録などを紹介しながら、その苦難と再起の日々を追う。
(中央公論新社 820円+税)