「どんまい」重松清著
三上洋子40歳、夫の浮気が原因で離婚したばかり。心機一転、再出発しようと思っていたところ、地元の草野球チーム、ちぐさ台カープがメンバーを募集しているのを知る。しかも「年齢・性別ともに不問」。洋子は小学生のころ、野球が得意で、中学でも続けたかったが女子の枠はなく悔しい思いをした。今度こそと、思い切って応募すると、ひょんなことから付き添いで行っていた中2の娘、香織も一緒にチームに参加することに。
入ったチームは極めてユニーク。広島カープを愛してやまない正体不明のカントク、元甲子園球児で体格はいいが気弱なショーダイ、中高6年間バントしかやらせてもらえず今はフルスイングで三振の山を築くウズマキ、野球がうまいのをねたまれ先輩からいじめを受けた沢松、元ヤンキーで亡き母をしのんで験担ぎのカレーを食べ続ける伊沢……。
それぞれの人生を背負いながら懸命に野球に打ち込む姿は、離婚という危機を迎えた洋子と香織に大きな勇気を与える。ヒューマンな野球小説。
(講談社 1800円+税)