「酒の神さま」吉村喜彦著
バー・リバーサイドに久しぶりにアッコこと明子が姿を見せ、骨折した母親の介護のため、しばらく五島列島の中通島の実家に帰省していたと、お土産をマスターの草太に手渡す。草太は、「爽やかで季節にぴったりのもの」という彼女のリクエストに応え、シャンパンと搾りたてのオレンジジュースでミモザをつくる。
彼女は地元タクシー会社のエース・ドライバーだったが、このところ成績が伸びず悩んでいた。その原因に心当たりはあるのだが、自分ではどうすることもできない。
そんなある日、川沿いの道を運転していたアッコは、路上で動けなくなっていたレース用の鳩を保護する。(「サザン・バード」)
店の窓から多摩川を望む小さなバーを舞台に繰り広げられるハートウオーミング・ストーリー集。
(角川春樹事務所 560円+税)