「砂の街路図」佐々木譲著
母の四十九日を終えた俊也は、地元の人が郡府と呼ぶ北海道の運河町を訪ねる。20年前、俊也の父親は行き先も告げずに家を出たまま、この街で酔って運河に落ち溺死していた。郡府は、父と母が学生時代を過ごした街だった。20年前、父がなぜこの街にやってきたのかを知りたい俊也は、遺品のマッチのラベルを頼りに一軒の酒場に向かう。店主の佐久間に聞くと、彼と妻の美加も父と同じ大学の出身で、父は美加の通夜に出席するために来道したことが分かる。美加は父が大学2年まで所属していた漕艇部の部員だった。当時の記録を調べた俊也は、40年前に漕艇部内で事件があったことを知る。
時間が止まったような街を舞台に描く長編「家族ミステリー」。
(小学館 630円+税)