街歩き歴30年 作家・川本三郎氏の「東京文芸散歩」

公開日: 更新日:

 若いころから街を歩き、変わりゆく東京の姿を見続けてきた作家の川本三郎氏。そんな街歩き歴30年の川本氏が小説で東京の街をご案内。オジサン世代が青春時代を過ごした懐かしい街の風景に、思わず再訪したくなること間違いなしだ。

■新宿・大久保

 新宿の歌舞伎町から大久保周辺がエスニックタウン化し始めたのは、1980年代のこと。そんなアジア化していく新宿の街をもっとも早く描いた小説が、佐々木譲著「新宿のありふれた夜」(KADOKAWA 560円)だ。

 学生運動に破れて以来、隠れるように新宿の街で生きてきた全共闘世代の郷田が、ヤクザと警察に追われる不法滞在のベトナム難民少女を、包囲網が張り巡らされた新宿から逃すために奔走する。

「雑多ゆえに自由さがあった歌舞伎町、湿っぽさが漂う大久保周辺の描写はまさに80年代です。出会いのシーンの風林会館近くのスーパー・エニイは02年に閉店しましたが、大久保周辺には小説の文章のまま、今も昭和30年代を思わせる一角が残っていますよ」

 新宿が舞台といえば、新宿警察署の一匹狼的刑事・鮫島が主人公の大沢在昌著「新宿鮫」(光文社 590円~。現在はシリーズ10まで刊行)も忘れてはならない。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  5. 5

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  1. 6

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 7

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 8

    雑念だらけだった初の甲子園 星稜・松井秀喜の弾丸ライナー弾にPLナインは絶句した

  4. 9

    「キリンビール晴れ風」1ケースを10人にプレゼント

  5. 10

    オリックス 勝てば勝つほど中嶋聡前監督の株上昇…主力が次々離脱しても首位独走