「令和元年 競輪全43場旅打ちグルメ放浪記」峯田淳著
漫画家・横田昌幸が書いた「競輪巡礼記」の話が本書に出てくるが、私、この本も読んでいる! ちょうど30年前に出た本だが、そのときは「全国50場」という副題がついていた。それが30年後に「43場」となっていることは寂しくもあるが、それしか減ってないとは意外に頑張っているようでもある。
ところで私、競輪ファンではない。これまで競輪場に行ったことも数回しかない。それでも、横田昌幸「全国50場 競輪巡礼記」や本書が好きなのは、ようするにギャンブルについて書かれたものが好きだからだ。
本書は特に、タイトルにあるように全国の競輪場のグルメについても書かれているのが興味深い。
京王閣「まくりや」の牛すじカレー、静岡競輪場の「牛ふわ」、そして、全国ご当地インスタントラーメンがそろっている立川競輪場「468」などが次々に紹介されるのである。平塚競輪場4コーナー裏の売店「七福3号店」のアジフライ150円も、特に珍しいものでもないが、「平塚のアジフライはうまい。湘南海岸で獲れたアジの揚げたてにソースをたっぷりかけてかぶりつく」と書かれると食べたくなるのだ。
競輪場だけではない。岐阜城の展望レストランには、豚のホルモンと牛すじを甘味噌で煮込んだ「信長どて丼」があると紹介されると、行ってみたくなる。競輪のことを知らなくてもたっぷりと楽しめる本だ。
(徳間書店 1500円+税)