「俺は内田裕也、スクリーン上のロックンロール」内田裕也著
内田裕也が俳優として本格的にデビューしたのは、曽根中生監督の「不連続殺人事件」だった。脚本家の荒井晴彦と斎藤博が、坂口安吾原作の映画に出てほしいと内田に頼んだ。「誰に断られて俺のとこ、来たんだ?」と、断られた相手全員の名を尋ねると、小林旭、若山富三郎、中村吉右衛門だと答える。そして「これはマズい。根本から発想を変えなきゃいけない」と考え、内田裕也しかいない!! ということになった。
「俺、芝居なんてやったことないし、下手クソだぞ」と言ったら「実はもう、クランクインしてるんです」。
ロケ地の新潟に行ったら、みんな旅館で雑魚寝、弁当は握り飯と豚汁だけの貧乏な現場だった。内田裕也のインタビューによる出演映画の記録。
(キネマ旬報社 2200円+税)